みなさんこんにちわ!
ゆかつちです!
本記事では、イラスト上達のためにデッサンやクロッキーなどの練習を行っているものの人体描写の成長が伸び悩んでいるかも、という初~中級者の方に知っていただきたい事と特におすすめの参考書を紹介させていただきます!
イラストの勉強を始めたいけどどこから手をつけていいか分からない、という方に対しても有益な情報となると思いますので ぜひご参考ください!
人体を描く上での学習順
まず人体描写を覚えるには学習順がとても重要だということを説明させてください
人体が描けるようになるというのは、絵の練習の中でも覚える要素が多いため非常に大変なことです
そのため習熟するまでには順序立てて学習を行ったとしても それなりの時間が必要になります
順序を考えずに闇雲に学習することは、無駄とまでは言いませんが時間を余計に浪費することになりかねません
数学の勉強で例えるのなら 掛け算も覚えていない状態でいきなり微積分の学習を先に行うよりも、掛け算 → 方程式 → 微積分と前提となる知識を順々に獲得してから学習していくことが一番効率的なのは明らかですよね
絵の学習もそれと同じで適切な順序で進めていくことが重要なのです
したがって余計な遠回りをしないためにも 先に学習順について整理して最短経路で上達していきましょう!
では早速結論ですが、デッサンであれ漫画・アニメ絵であれ、基本的に人体描写の学習は以下の7ステップを上から順に進めていくことが大切です。※人によってそれぞれのステップは前後する場合があります
ステップ1:立体把握・操作
ステップ2:パースペクティブ
ステップ3:ジェスチャードローイング
ステップ4:構造化
ステップ5:アナトミーの適用
ステップ6:シェーディング
ステップ7:カラーリング
一つ一つのステップが説明しようと思うと何記事も必要になるようなものなので、ここではそれぞれの簡単な説明をさせていただきます
ステップ1:立体把握・操作
人体に限らず、絵を描く上で最も基礎的であり重要な要素の一つです
立体・球体・円柱などの基本的な立体の単純描写から、立体同士の結合・削除など色々な操作を描写することを指します
もし今クロッキー練習を継続して行っており、それでも実力があまり向上していないと感じる場合はこの学習がそもそも不足している可能性が高いです
また、これから絵を学習していこうという方はこのステップから重点的に学んでいくことをおすすめします
ステップ2:パースペクティブ
パースペクティブとは透視図法のことです。単にパースと略して呼ぶことが多いです
こちらも人体に限らず、絵を描く上で最も基礎的であり重要な要素の一つです
ステップ1で描いたものにパースを適用させることで立体により説得力を持たすことができるようになります
もし以下のチェック項目に一つでも該当があるのであれば、ステップ1、ステップ2の学習を重点的にを行いましょう!
- 描いた絵がどこか平面的に見える
- 色々な角度で描けない
- いつも何回も線を引いてその中からそれっぽい線を見つけている
ステップ3:ジェスチャードローイング
ジェスチャードローイングとは対象の立体の要点や流れを素早く描き起こす描画のことです
主な練習としてクロッキーなどがあげられます
クロッキーの説明やおすすめのクロッキーサイトについては、下記の記事にて紹介していますのでぜひご一読ください!
各クロッキーサイトのまとめはこちらから
ステップ4:構造化
人体の各部位を球体や長方形、円柱などの単純図形に置き換えて描写することです
こちらも主な練習としてクロッキーが代表的です
また有名な参考書としてモルフォシリーズがあります
モルフォ本のおすすめランキングはこちらから
ステップ5:アナトミーの適用
アナトミーとは人体解剖学のことです
絵の場合、骨や筋肉の知識を中心的に学習していきます
ステップ4で人体を単純な立体の集合で表現した(=構造化した)ものに適用させることでより説得力のある人体を描写できるようになります
また有名な参考書としてソッカの美術解剖学ノートがあります
ステップ6:シェーディング
シェーディングとは陰影付けのことです
ステップ5までで作成した絵に最終的な立体感や奥行きを付与します
シェーディングを行うことで、平面的なイラストに立体感が生まれ、より現実的で深みのある絵に仕上げることができます。
主な練習としてキアロスクーロ(明暗法)やクロスハッチングでの描画などがあげられます
ステップ7:カラーリング
カラーリングとは色付けのことです
カラーリングは基本的には作品作成時の最終工程にあたる部分で、イラスト全体の印象やメッセージを大きく左右し、キャラクターの個性やシーンの雰囲気を表現する重要な要素となります
学習順のまとめ!
上記で述べたステップで、自分が苦手だと感じるステップはそれより前のステップがそもそもできていない可能性が高いです
例えばステップ7のカラーリングが苦手なのは、前提となるステップ6のシェーディングで明度(バリュー)での表現が習得できていないからです
そしてステップ6のシェーディングが苦手なのは、前提となるステップ5のアナトミーを覚えておらず筋骨の隆起に沿う陰影を付けられないからです
またステップ5のアナトミーの適用が苦手なのは、前提となるステップ4で人体を適切に構造化することができていないためです
これはステップ4~2も同様です
こうして考えていくとステップ7に至るまでにはステップ1からステップ6までをある程度は押さえておく必要があることに気づかれると思います
現在のデジタルイラストの世界では色彩に富んだ 非常に魅力溢れるイラストが多いですよね
それに憧れてついついカラーリングの勉強ばかりしてしまっている方も少なくないと思います
実際のところカラーリングは前述のとおりイラストの最終工程ですので、土台となるステップ1からステップ6がある程度習得できていなければ、もしカラーリングだけを極めたとしても どこか魅力に欠いたイラストを描いてしまいかねません
よってこれ以降ではステップ1~ステップ6に重点を置いたおすすめの参考書を紹介させていただきます
その後、それらの参考書を使用した筆者自身の学習前後の画像を載せましたので ぜひご覧ください
おすすめの参考書を3冊紹介!
人体を描く上での学習順を踏まえた上で、ステップ1~6を一括で学習することのできるオールインワンタイプのおすすめ書籍を3冊を紹介させていただきます
もちろんすべてを入手する必要はありませんので、せめてどれかひとつだけでも自分のためにぜひ入手してあげてください!
【1冊目】人物デッサンパーフェクトノート
1冊目は、モルフォシリーズなどを刊行しているグラフィック社の「人物デッサンパーフェクトノート」です
モルフォ本のおすすめランキングはこちらから
前述したステップ1~ステップ6までをこの一冊で網羅しており、人体描写のクオリティの段階を今よりも上げたいという方にはとてもおすすめできます
私はこの本を読んだことで、絵にはどんな工程があってどう上達していけばよいのか、ということを初めて知ることができました。もちろんこの本一冊だけですべて理解できるというわけではありませんが、それでも値段に見合った情報が得られると思います
例えばクロッキーに関する説明(制限時間毎(1~2分、3~5分、10分)にどのような描写を目指して書けばよいのかなど)や色々な練習法の解説など、この本に出合うまで闇雲にクロッキーばかりをしていた自分にとっては非常に助けになりました
私自身もこの本を読んだことで人体を描く楽しさを学ぶことができましたし、学習前後で大きく成長できたな実感することができた一冊です
【2冊目】ラインを極める:人体ドローイングマスターコース
2冊目は、カラー&ライトやスカルプターのための美術解剖学などの有名参考書を刊行しているボーンデジタル社の「ラインを極める:人体ドローイングマスターコース」です
こちらも前述したステップ1~ステップ6までをこの一冊で網羅しています。また基本的には1冊目の「人物デッサンパーフェクトノート」と内容的にもほとんど同じといってよいです
ただ「人物デッサンパーフェクトノート」よりも全体的に説明が丁寧で、特にステップ5のアナトミーの適用や顔や手足など細かい部分の描き方が解説されており、それらの点は1冊目「人物デッサンパーフェクトノート」にはない内容なので結果的には購入してよかったな、と個人的には思える一冊でした
【3冊目】人体の構造と動き 描き方入門
最後の3冊目は、数多くのイラスト参考書を刊行しているホビージャパン社の「人体の構造と動き 描き方入門」です
こちらはステップ6の解説はないものの、ステップ1~ステップ5までは網羅されており内容的にもとても素晴らしかったので ぜひおすすめさせていただきたい一冊です
正直ステップ1~ステップ5に関してはこの一冊だけ買えば必要なことは ほとんど習得できるんじゃないかと思います
また1冊目の「人物デッサンパーフェクトノート」や2冊目の「ラインを極める:人体ドローイングマスターコース」に比べるとはるかに取っつきやすく、すべての初心者にこの本から学習を始めるのを強く推奨したいくらいでモルフォシリーズに並ぶ良書でした
自分が学習を始めた頃にこの本が出版されていれば…と強く思いましたね。この本で学習を始めれる方が羨ましいです
書籍を実践した筆者の結果
では実際に、私ゆかつちが今回 紹介させていただいた書籍(「人物デッサンパーフェクトノート」と「ラインを極める:人体ドローイングマスターコース」)で学習を行い、学習前後でどうなったかをご覧いただきたいと思います
比較画像は私が絵を描き始めて1か月目のものと2か月,3か月目の3枚になります
学習前は今まで絵はノートの隅に棒人間を描いていたぐらいで それ以上・それ以外の絵は人生で一度も描いたことがありません
絵を描いたことがない、絵の実力もないという人間が完全に0の状態から絵の学習を始めています
※画像はすべて記事作成現在(2024年)から約3年前のものになります
絵描き1ヵ月目
この頃はまだ何から始めれば絵が上達するか何もわからない状態でした
最初の1ヵ月は とりあえず「絵 練習」とかで検索して、流されるように「PoseTrainer」の人体模型をひたすらキャンパスノートにクロッキーをしていました
ただただ描きまくって量で押せば勝手に上手くなるかなと思っていた時期です
1ヵ月くらい下の画像みたいな練習を続けましたが当然、前述したステップ1~2がそもそもできていないので絵がめちゃくちゃですし、なにより一向に上達の気配を感じませんでした
リンクはこちらから
絵描き2か月目
最初の1ヵ月でまったく上達した感覚を覚えられず、無課金での上達を断念
素直に参考書に手を伸ばしました。最初に手に取ったのは『人物デッサンパーフェクトノート』、絵を描き始めて最初に買った本の中の1冊で3年経った今でも最高の参考書の1冊だと思っています
この本のおかげで胴体や二の腕、太ももなどの大きな部分については表現ができるようになりました
ただ頭部や手足など細やかな部分を学びきるのが難しく、この時点では顔や手足などの描写が苦手で避けていました。(今も得意ではな…)
絵描き3か月目
前述した『人物デッサンパーフェクトノート』と同じタイミングで購入した『ラインを極める:人体ドローイングマスターコース』での学習を行いました
こちらは頭部や手足、皮膚のシワなどの描写の手順がより詳しく記載されており、細部の表現ができるようになりました
※一部隠してます
絵描き3か月目までの感想
最初の1か月は客観的にみるまでもなく闇雲に練習していたな、と思います
ステップ1~ステップ6までの学習順序など そもそも意識もしていないので、ただ描く数をこなしていればいずれ上手くなるだろうと安直に思っていたわけです
絵はゲームのように自分の上達度合いが数値で分かるわけではないので 自分が上達しているかが分かりにくいものだと思っています
とはいえ成長しているのなら、例えば「前よりもスムーズに描けるようになったな」とか「前よりも絵が生きているようにみえるな」とかそういったことがあるはずです。
私はそれが最初の1か月目で全く起こらず、参考書を買ってきちんと1から勉強する決断をしました
その際に偶然 素晴らしい参考書と巡り会うことができ、ステップ1~ステップ6の部分をどう習得していけばよいかを学べたため、2,3か月目には大幅に人体描写が上達したと思っています
ただこの段階でも大きな見落としがありました。しかしそれ気付くのはここからさらに1年先の未来のことで、このことについては またいずれ記事にしたいと思います
まとめ!
では最後に学習順序とおすすめの参考書を簡単にまとめます!
学習順序 | 人物デッサンパーフェクトノート | ラインを極める:人体ドローイングマスターコース | 人体の構造と動き 描き方入門 |
---|---|---|---|
ステップ1:立体把握・操作 | 〇 | 〇 | ◎ |
ステップ2:パースペクティブ | 〇 | 〇 | ◎ |
ステップ3:ジェスチャードローイング | ◎ | ◎ | ◎ |
ステップ4:構造化 | ◎ | ◎ | ◎ |
ステップ5:アナトミーの適用 | △ | 〇 | ◎ |
ステップ6:シェーディング | ◎ | ◎ | × |
総合評価 | 入手優先度:高 | 入手優先度:高 | 入手優先度:高 |
各参考書の総合評価としては、3冊ともすべて入手優先度は高く、可能なら入手すべきだと判断します
ただ、前述しましたが「人物デッサンパーフェクトノート」と「ラインを極める:人体ドローイングマスターコース」に関しては書かれている内容の大部分が同じ感じなのでどちらかだけ入手すればよいと思います
「ラインを極める:人体ドローイングマスターコース」の方がわずかに価格が高いですが、その分+αの情報があったり、解説が丁寧で理解しやすかったです
「人体の構造と動き 描き方入門」に関しては初心者の方にとって殆ど最適解といえるような参考書でしたので、
まず最初に「人体の構造と動き 描き方入門」を購入し、さらに金銭的に余裕があるようであれば「人物デッサンパーフェクトノート」か「ラインを極める:人体ドローイングマスターコース」を購入するというのがベストかなと個人的に思います
記事の前半でも述べましたが、人体描写は一朝一夕で身につくものではなく長期間の練習が必要です。自分ひとりだけでは乗り越えられないような壁も当然出てくるとは思いますが、先ほどの参考書はそれを乗り越える手助けに必ずなってくれるはずです
ハムレットやロミオとジュリエットで有名なイギリスの劇作家 ウィリアム・シェイクスピアは『険しい山に登るには、最初からゆっくりと歩くことが必要だ』と言葉を残しました。
ぜひ今日から一緒に一歩ずつ歩いて基礎を固めていきましょう!
では
おつかれさまです!
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